2013年3月22日金曜日

大山村塾特別企画「エネルギー自 給自足の先駆者2人の実験場を市原市に訪ねるツァー」ご報告!

先日行った太陽光発電実験場ツアーの報告を、
高野塾長のメールマガジン、高野孟のTHE JOURNALより転載いたします。

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3月16日(土)

 朝9時に旧大山小学校に集合して、大山村塾特別企画「エネルギー自
給自足の先駆者2人の実験場を市原市に訪ねるツァー」に総勢11人で出
発。

 1時間15分ほどで市原市皆吉にある長島彬=CHO研究所所長のソー
ラー・シェアリング実証実験場に到着し、早速現場で説明を受けた(写
真館参照)。「ソーラーシェアリング」とは、太陽の光を農地の作物と
太陽光発電とでシェアする仕組みで、長島さんによれば、植物は一定量
の光があれば育ち、それを超える量(光飽和点)の太陽光は植物にとっ
てむしろストレスとなり、成長を阻害する因子となる。多くの植物にと
っては「ブナの林の中のような明るい木漏れ陽の状態」(長島氏)が望
ましいのだそうだ。そこで、生育に必要な分を除いた、余剰の太陽光を
発電に使う。
 具体的には、農地の上に、足場用の単管パイプを使用してフジ棚のような
構造物を設け、4分の1程度の面積になるように、スリット状に
太陽光パネルを設置する。実験の結果、収穫に影響はなく、作物によっては
収量が増えたと言う。夏の間の水やりも減らすことができるメリットもある。

 しかし「ソーラーシェアリング」の最も重要な点は、これを売電すれ
ば農家の新たな収入源にもなることだ。農家が1反(約1000平米)の田
んぼで米を作って7~8俵獲れたとして1012万円の収入にしかならな
い。ところがその田んぼの上に「ソーラーシェアリング」を設置して売
電すれば100万円になり、反当たりの農家収入は年110万円になる。つま
り農家は電力料金という安定した収入を得ながら、新しい品種に取り組
んだり、経営を多角化することができる。
 それが可能であれば、農家の後継者不足や自給率低下の解消も夢では
なくなって来る──というのである。
1反の広さにソーラーシェアリングを設置する費用は250万円ほどだ。

 12時過ぎに見学を終え、車で15分ほどの「ブリック&ウッド・クラ
ブ」に移動して中島健一郎さんと落ち合い、クラブハウスの一室で昼食
をとりながら「土太郎村」構想についてレクチャーを受けてから、歩い
て見学した。
 ブリック&ウッドはゴルフクラブで、その母体となる会社が、
隣接する元土砂採取場の広大な土地が産廃業者の手に落ちそうになったのを
食い止めてそこを入手した。それを活用するために、
元毎日新聞社会部長・常務の中島さんが中心になって自然と人間の調和、
再生可能エネルギーによる自立をテーマとした理想のビレッジを作ろうと
いう大構想が動き出し、現在ほんの一部に第1期工区の23区画の造成が
終わって完売、すでに14軒が建っている。その1軒が中島さん自身の別
荘で、太陽光発電と太陽熱温水だけですべてのエネルギーを賄っている。

 このエネ自立システムを設計・施工した在日ドイツ人エンジニアの
バルテンシュタインさんによると、電気には(1)生命維持に必要な電気、
(2)あれば快適な電気、(3)あってもなくてもいい電気、(4)無駄な電気、の
4種類があって、3・11後に日本人の多くはようやく(4)に気が付いて
小まめに消すようになったが、もっとよく自分の電気の使い方を研究して
(3)(2)についても、少しだけ我慢すれば削減できることを知るべきだ
という。
 実際に中島宅では、太陽光発電の電気は鉛蓄電池に溜められて普通は
13V前後で出力されるが、11Vを切ると蓄電池が回復しなくなるので、
小まめに台所の壁にあるメーターをチェックし、切りそうになると、
例えば浄化槽の曝気装置は四六時中稼働させておく必要がないのでその
スイッチを切る、といった工夫で(1)の生命維持に必要な電気だけを確
保するようにしている。電灯はもちろん全てLEDだ。暖房は、太陽熱温
水器で暖められた湯を蓄熱水槽に溜め、それを床下に巡らせたパイプに
循環させた床暖房と、外壁と内壁の間に大量のモミガラを詰め込んだ壁
断熱の組み合わせで、山の中でも冬に十分に快適な室温を実現している。
夏の冷房は、窓を網戸にして風通しをよくし、軒下に組み込んだファン
で夜気を室内に取り込むだけ。参加者一同、「へぇー、こんなやり方が
あるんだ」と大いに感心した。



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第一回の大山村塾特別企画でした。
来年度が4月から始まりますが、
こんな形で外に出て行ったり、いろんなイベントを企画しております。
今年一年も、大山村塾にご注目、ご期待ください!

担当:首藤 武宏


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