2012年7月5日木曜日

第2回 大山村塾講演会 開催されました。

日時が前後してしまいましたが、6月9日(土)に、
旧大山小体育館にて、第2回大山村塾講演会が開催されました。
大雨の中の開催となってしまい、参加者の方には大変な
ご迷惑をかけてしまいましたが、100名に近い方がご参加くださいました。

当日の様子は、またあらためて投稿する予定ですが、
講師を務めてくださった甲斐さんのレジュメを公開させていただきます。

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大山村塾レジュメ 2012/06/09 農文協 甲斐良治

『青年帰農』から10年
「ついて行く編集者」が農山村に向かった若者たち、そしてむらから学んだこと

(社)農山漁村文化協会(農文協)
編集局次長・前「季刊地域(増刊現代農業)」編集長
甲斐良治

1、はじめに
 結城登美雄著『地元学からの出発 この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける』
 「まえがき」より

 人間というものは身近にあるものよりは、遠くに隔ってあるものを
価値の対象にしてしまう心性をもっているという。隣の芝生がいつも青く見えてしまったり、
幸せは山のあなたの空遠くにあると思い込んでしまう不思議な心理。
  「近代化」とは、そうした人間心理の上に成り立ってきた。先進地は西欧で日本は遅れている。
だから日本をよくするためには西欧化しなければならぬと、船来品や外来思想をありがたがり、
在来の文化を低くみた。とりわけ戦後はアメリカ一辺倒のモダニズムの嵐が吹き荒れ、
気がつけば合衆国日本州になってしまっていた。
 人びとが生き暮らす地域のとらえ方も同じで、農山漁村は閉鎖的で非効率的で、
もっと近代化し都市化しなければならぬと、村の暮らしと営みをゆさぶり続けた。
その結果、村を離れて都市へと急ぐ「向都離村」の時代が長期化し、
過疎・限界集落といわれるまでになってしまった。
   思えば私たちの戦後教育もまた、自然とともに村を生きていくための学びを捨て去り、
企業ひしめく都市社会の一員になるための学びばかりになってしまった。
競争社会に打ち勝ち、優位のポジションを得るための学び。頭を肥大させ知識を詰め込み、
受験、進学、一流企業。それが豊かな生活と人生を保証してくれるはずだと、
遠隔対象性の一本道を追いかけてきた。だが、盛者必衰、時代は行き詰まってしまった。
気がつけば都市も農村も孤立してバラバラに暮らしていた。
当然ながら人はひとりでは生きていけない。人びとは今、来し方をふり返り、
失ったものの大きさにたじろぎながら、少しずつ新たなるもうひとつの道をも模索し始めている。
  遠くで光り輝くものも悪くはあるまいが、今はむしろ、ここにあるものをあらためて
ていねいに見つめ直してみたい。この土地を生きてきた先人たちは、
限られた自然立地条件の中で、どのようにして己が生きる場と暮らしをよくしようと
努力してきたのか? その知恵と工夫は? いたずらに格差を嘆き、
都市とくらべて「ないものねだり」の愚痴をこぼすより、この土地を楽しく生きるための
「あるもの探し」。それを私はひそかに「地元学」と呼んでいるのだが、
要はこれからの家族の生き方、暮らし方、そして地域のありようを、
この土地を生きてきた人びとから学びたいのである。
   性急に経済による解決を求める人間には、ここには何もないと見えてしまうだろうが、
自然とともにわが地域を楽しく暮らそうとする地元の人びとの目には、
資源は限りなく豊かに広がっているはずである。
むろん「地元学」は都市やグローバリズムへの否定の学ではない。
自然とともに生きるローカルな暮らしの肯定の学でありたい。
もう一度この土地を生きてきた人びとの声に耳を傾け、
その発見の中から自分もまた地域を再生する一人の当事者として力を合流させたいと思う。
 本書は10年にわたる試行錯誤のたどたどしい記録であるが、
「地域の再生」へのささやかな手立てになってくれたら嬉しい。
                                                                                    2009年10月  結城登美雄


2、「自然とともにわが地域を楽しく暮らそうとする人びと」の直売所
      ――長野県伊那市「グリーンファーム」
出荷会員 2150人 職員60人 うちパート5人 売場面積400坪(敷地面積3300坪)
いきいき100坪実験農場

3、「むらの一員」か「就職口」か
      ――大分県豊後大野市「夢市場直営農場」と「天の川生産組合」の若者たち

4、「いいからかん」で拓く私の人生
      ――群馬県片品村「グッドマザープロジェクト」桐山三智子さん

5、「いい大学を出ても、希望通りの職に就けず、
     たとえ就職しても『終身雇用』などという概念は、はじめから私たちにはなかった」
          ――熊本県南阿蘇村O2ファーム 大津耕太さん・愛梨さん

6、「キーワードは自給よ、自給」「自給こそ農村文化の源」
          ――島根県津和野町「おくがの村」糸賀盛人さん

7、月5万円の暮らしを学ぶ――「緑のふるさと協力隊」

8、若者動きを国がとらえた――「地域おこし協力隊」

9、林業にも若者の潮流――複業型自伐林家をめざす「土佐の森・救援隊」
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講演後は、懇親会が持たれ、さらに対話が深められました。

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